アメリカはなぜICCを嫌うのか?

アメリカがICC(国際刑事裁判所:International Criminal Court)に対して反発し嫌うのは、国家主権の保護と自国軍人及び同盟国を守るという安全保障上の理由がある。

主な理由は以下の4点に集約される。

  1. アメリカはICCに加盟していない(ローマ規程に署名してない)

ICCとは1998年に採択された「ローマ規程」を根拠に設立された常設の国際裁判所。

アメリカはローマ規程に署名・批准していないので、「非加盟国の市民や政府に対して、ICCが司法権を行使するのは主権の侵害である」という立場をとっている。

つまり条約に加入していない以上、アメリカはそのルールや管轄権に縛られる筋合いはないと考えている。

  1. 米国の軍人や政治家が「政治的に訴追される」懸念

アメリカは世界中で軍事活動を行っている超大国のため、リスクを非常に危惧している。

反米的な国家や政治的意図を持った勢力が、アメリカの軍人や指導者をICCに告発・訴追する可能性がある。

訴追リスクを避けるため、アメリカ軍が正当な軍事行動や平和維持活動を行えなくなることを警戒している。

  1. 同盟国(イスラエル等)への捜査・逮捕状発行への反発

アメリカがICCの動きに最も強く反発する理由の一つに、同盟国(特にイスラエル)に対する介入がある。

ICCはパレスチナ自治区での紛争をめぐり、イスラエルに対して逮捕状を請求・発行するなどの動きを見せている。

イスラエルもICCに加盟しておらず、アメリカはイスラエルを強固に擁護し、ICCの決定を激しく非難している。

  1. ハーグ侵略法による対抗措置

アメリカはICCの動きを警戒するため、2002年に「アメリカ軍人保護法(通称:ハーグ侵略法)」という法律を成立させた。

この法律ではICCに拘束されたアメリカ軍人や同盟国軍人を解放するために、ハーグ(オランダ)にあるICCの本部への軍事介入すらも権限として認めるという、極めて強い対抗姿勢が示されている。